皮膚悪性腫瘍とは

いわゆる皮膚のがんのことを皮膚悪性腫瘍と言います。主な皮膚がんとしては、基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、転移性の皮膚がんがありますが、そのほか皮膚がんの初期病変である日光角化症やボーエン病なども含まれます。

なお、これらの皮膚悪性腫瘍というのは、良性の腫瘍と見分けがつきにくく、また初期の頃では症状が出にくいなど、ある意味では病状を進行させやすい条件が揃っています。そのため、徐々に大きくなってきた、急に盛り上がってきたなど、皮膚の異変に気づいたら速やかにご受診されることをお勧めします。

皮膚悪性腫瘍とは

主な皮膚悪性腫瘍

日光角化症とは

高齢者によく見受けられ、日が当たりやすい部位(頭部、顔面、頸部、背中、手の甲 など)で発症します。日光などの紫外線を浴び続けることが原因とされ、痛みやかゆみといった自覚症状はみられませんが、皮膚の表面に形が整わない紅斑や鱗屑、かさぶたなどがみられるようになります。
ただこの場合は、病変は表皮内にとどまっていることから、すぐに生命に何らかの影響が出るということはありません。ただ放置が続けば、有棘細胞がんに進行することもあります。
有棘細胞がんに進行してしまえば、他臓器への転移を起こし、命を失うこともあります。日光角化症はまだ認知度の低い疾患でありますが、高齢者の顔面ではかなりの確率で生じる疾患であるため、顔面に境界がはっきりしないざらざらとした赤い斑ができてきた場合はすみやかに当院を受診下さい。早期に治療を行えば、有棘細胞がんへの進行を阻止できます。

治療については、病変部位を切除する外科的治療(手術療法)のほか、凍結療法やイミキモドといった外用薬による方法を用いることもあります。

基底細胞がんとは

皮膚がんの中で最も患者さまが多いとされるがんで、表皮の一番下の部分にある基底細胞とよく似た細胞が増殖することで発生するがんです。

中年より上の世代にみられることが多く、紫外線や放射線などが発症の引き金になることが多いと言われています。顔面に多いですが、全身どこにでも生じる可能性があります。光沢感のある少し隆起した黒もしくは黒褐色の皮疹が確認できます。さらにその中心部は潰瘍化していることが多く、かさぶたや出血がみられます。診断をつける際は、皮膚生検をしていきます。

治療をする場合は、病変部位を切除する外科的切除となります。切除の際は、再発のリスクを少なくするために病変の周りも含め、広めに切除していきます。