一般皮膚科とは
日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医である当院長が、皮膚でみられる何らかの症状や病気について主に保険診療にて対応いたします。具体的には、皮膚に痛みや湿疹(かぶれ)、かゆみなどの症状があるといったことをはじめ、虫に刺された、やけど、水虫、にきび、日焼け、ドライスキン(乾燥肌)などの皮膚トラブルのほか、できものやほくろが気になるので切除したいという場合も当診療科をご受診ください。
皮膚疾患に関しては見た目だけでは確定診断ができないことも数多くあります。その場合、皮膚生検を行うなどして診断をつけていきます。その結果、入院加療を要する、高度な医療機器による検査や治療が必要という場合は、当院の提携先でもある総合病院や専門の医療機関をご紹介いたします。
このような疾患が疑われる場合は受診下さい
・湿疹 ・かぶれ ・かゆみ ・アトピー性皮膚炎 ・乾癬・じんましん ・乾燥肌 ・にきび ・水虫(足白癬、爪白癬) ・虫刺され ・ほくろ ・粉瘤 ・皮膚がん・いぼ ・たこ、うおのめ ・水いぼ ・巻き爪(陥入爪) ・やけど ・帯状疱疹 ・円形脱毛症
主な皮膚疾患
じんましんとは
何の前触れもなく、かゆみが伴う赤い発疹が体の一部でみられるようになりますが、多くは数時間~24時間以内に皮膚症状は跡形もなく消えるようになります。原因としては、アレルギー(植物・虫、薬剤、食物 など)や非アレルギー(物理性やコリン性 など)が挙げられますが、じんましん患者さまの8~9割近くの方が、原因不明のじんましん(特発性じんましん)と言われています。
じんましんは、急性と慢性に分けられます。発症から1か月が過ぎても症状が続いている場合に慢性じんましんと判断します。
治療に関してですが、まずは抗ヒスタミン薬をしっかり飲んで頂きます。
1週間から2週間は続け、効果の見られない場合には薬剤を変更したり、併用したりして経過をみていきます。
かぶれとは
正式には接触皮膚炎と呼ばれ、原因とされる物質に皮膚(肌)が接触することで、湿疹の症状(皮膚の炎症)が起きている状態です。一般的には、これをかぶれと言います。主な症状は、紅斑や水ぶくれ、かゆみなどです。
原因については様々あるとされ、大きく刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に分けられます。前者はアレルギーとは関係なく、原因物質の強い刺激によって引き起こされるもので、強酸や強アルカリの物質に触れる、刺激物質に繰り返し触れるなどして発症します。アレルギー性はアレルゲンとなる物質に触れることで発症するようになります。なおかぶれを起こしやすい原因物質は、植物(ウルシ、サクラソウ など)、金属、薬剤(ステロイド、抗菌薬 など)、日用品や化粧品といったものが挙げられます。原因検索の一環として、パッチテストを行うこともあります。
治療に関してですが、まず原因物質が特定していれば、その物質に触れない対策をとるようにします。かゆみや腫れなどの対症療法については、ステロイド系の塗り薬や抗ヒスタミン薬を服用するなどの薬物療法になります。
アトピー性皮膚炎とは
主に乳幼児に見受けられる皮膚疾患と言われていますが、最近は成人になっても症状が続いている、成人になってから発症するというケースもみられるようになりました。それでも多くの患者さまは、乳幼児でかゆみの強い湿疹が体中でみられ、良化と悪化を慢性的に繰り返すようになります。
背景として、先天的に角層の解剖学的、機能異常があることが分かっております。角質異常によるバリア機能の低下によって特異的、あるいは非特異的な反応を起こしやすくなっているのが、アトピー性皮膚炎の本態と言えます。
通常は乳幼児期から湿疹病を繰り返すことが多く、小児期にしっかりとした治療を行わなかった場合、成人になってからも症状の悪化が続き、日常生活に影響を与え、QOLの低下を招いてしまうこともあります。しっかりとした治療を行わないと、ひっかいてしまっては湿疹病変が悪化し、さらにひっかいてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
アトピー性皮膚炎は単一のアレルゲンによる皮膚疾患ではないため、疾患の本質を理解して頂き、長い目で治療を継続することが必要になります。当院へは定期的に通院して頂き、そのときの症状にあった治療を提供していきます。
乾癬とは
乾癬とは、皮膚が紅斑し、盛り上がりをみせ、さらに鱗屑という銀白色のかさぶたのようなものを形成し、それがフケみたいにボロボロと落ちていく状態のことで、これが慢性的に続いている状態です。また自覚症状としてかゆみが現れることもありますが、それは全乾癬患者さまの半数程度と言われています。
なお乾癬と一口に言いましても、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎などありますが、日本人の乾癬患者さまの9割近くが尋常性乾癬の患者さまです。なお日本人の乾癬の発症率というのは、0.02~0.1%とされ、中年男性がよく発症しやすいと言われています。原因については特定されていませんが、遺伝的要因に何かしらの環境的な要因が加わることで発症するといったことなどが考えられています。
尋常性乾癬では、上記のような症状が全身で起きますが、なかでも頭部、肘、膝、お尻など機械的な刺激を受けやすい部位で起きやすいとされています。
治療法については、ステロイドやビタミンD3の外用薬をはじめ、レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサートなどの内服薬、光線療法(PUVA など)のほか、最近では生物学的製剤による注射薬が用いられるなど、完治は難しくとも症状を悪化させない状態を保つ治療法が増えてきています。当院では外用療法を中心に治療を開始し、それでも改善のない場合に免疫抑制剤の内服治療を行います。ただ、それでも症状が悪化してしまう場合には、生物学的製剤の導入を目的に大学病院へ紹介させて頂くこととなります。
にきびとは
正式には尋常性ざ瘡と呼ばれ、これも皮膚疾患のひとつです。思春期~青年期にかけて発症しやすく、原因は皮脂の過剰分泌にあるわけですが、これによって毛穴が詰まって、面皰ができるようになります。この面皰がアクネ菌(常在菌のひとつ)を増殖させることで、炎症を引き起こすようになります。これがにきびで、顔面や胸背部など皮脂の分泌が過剰になりやすい部位(とくに思春期)でみられるようになります。青年期では、睡眠不足やストレスといった日頃の生活習慣が原因で発症することが多いです。
主な症状ですが、炎症が起きることで赤い丘疹、膿疱などがみられます。これを繰り返すようになってさらに悪化させると瘢痕化し、にきび痕ができるようになります。にきびと聞くと、青春のシンボルと思う方もいるかもしれませんが、ひどい状態を放置すれば、痕が残ってしまいます。そのため、炎症が発生したら早いうちに医療機関にて治療をすることも大切です。
治療をする場合ですが、まずは毛穴のつまりを取り除くタイプの薬剤と炎症を抑えるタイプの薬剤による外用治療を中心に行っていきます。炎症が強ければ、抗菌薬の内服も併用していきます。このほか、洗顔を1日2回程度する、規則正しい生活に努めるなど生活習慣の見直しもしていくようにします。
水虫とは
主に足の裏や足指の間、かかとなどの部位に白癬菌(カビの一種)が感染し、発症の際に皮膚症状がみられる病気のことを一般的には水虫と言います(正式には足白癬)。なお白癬菌は手(手白癬)や股(いんきんたむし)、頭部、体部、足の爪(爪白癬)などにも感染しますが、白癬菌に感染している半数以上の患者さまは足白癬に罹患しています。なお、足白癬に感染する原因は、不特定多数の人たちとの足拭きマットやスリッパの共有などが挙げられますが、白癬菌が足裏などに付着しても感染までには24時間かかるとされ、それまでに洗い流すことができれば感染を防止できます。ただ足裏に傷などがあれば、半分の時間(12時間程度)で感染してしまうこともありますので要注意です。
なお足白癬は、大きく3つのタイプに分類されます。趾間型は足の指の間(とくに足の薬指と小指の間)に発症するもので、一番よくみられるとされるタイプです。患部(足の指の間)に紅斑や小さな水疱がみられるほか、皮がポロポロ落ちるようになります。かゆみの症状も現れます。また小水疱型というのは、小水疱や小さな膿疱が土踏まずをはじめ、足指の付け根、足の側縁といった部位に数多く発生するようになります。水疱が発生する際は、強いかゆみがみられるようになります。また患部が乾燥すると皮がポロポロと落ちるようになります。3つ目の角質増殖型は極めて少ないタイプとされるもので、かかとや足裏の角層が肥厚化し、皮膚の表面がフケのようにパラパラと落ちるようになります。痛みなどの自覚症状はみられません。
治療については、主に抗真菌薬の外用薬を最低3か月は行います。ただし、角質増殖型は外用薬が浸透しにくいとされているので、抗真菌薬の内服薬を併用することがあります。また、治療をするにあたっては、常に足を清潔に保っていく必要もあります。
水虫に爪に生じることがあり、爪白癬と呼ばれています。表面のみの症状であれば抗真菌薬の外用が効果的ですが、通常は抗真菌薬の内服が必要になります。治療期間としては最低半年はかかることが多いです。
うおのめ、たことは
足底は常に物理的な刺激が慢性的に加わりやすい箇所なのですが、そのことによって発生する炎症性の症状はみられないものの角質(皮膚表面)が肥厚化している状態が、うおのめ(鶏眼)やたこ(胼胝)です。
うおのめの発症メカニズムですが、これは足底の一定の箇所に摩擦や圧迫がその都度加わり続けることで、角質層がどんどん分厚くなっていくことで発生するようになります。その際は、皮膚の内部(真皮)に向かって肥厚化していきますので、圧痛などの自覚症状がみられるようになります。ちなみにうおのめの中心部(核)は、見た目が魚眼や鶏の目に似ているので、うおのめや鶏眼と呼ばれるようになりました。
たこも足底などで物理的な刺激が一定の箇所で慢性的に持続することによって角質層が肥厚するようになるのですが、この場合は外側に向かって肥厚化していくのが特徴です。圧痛のような自覚症状はありませんが、靴を履いている際に何か物が挟まっているかのような感触がみられることもあります。また、うおのめと違い、足底だけなく、手(ベンだこ)やこぶし(拳だこ)、足の甲(座りだこ)などでもよくみられます。
治療に関してですが、肥厚化した角質層を削るといったことなどが行われます。ただ、これは対症療法であり、根本的にはサイズの合った靴を履くようにする、一定の箇所が刺激を受けない歩き方に努める、フットパッドを使用するなどの予防対策重要になります。
いぼとは
正式には尋常性疣贅と呼ばれるもので、皮膚の小さな傷口からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、感染することで発症します。あらゆる世代で発症しますが、子どもによくみられます。この場合は、手足のほか、顔や首などで発症することが多いです。
症状については、かゆみや痛みなどはなく、発生してすぐの頃は小さくて平たいのですが、次第に隆起していくほか、表面は角質化し、ザラザラとした感触があります。大きさや数というのは、まちまちですがサイズは数mm~1cm程度のことが多いです。
なお、いぼに関しては最終的には自然に消退しますが、いじっていると他の部位に増えていくことがあります。継続して通院できるのであれば、1週間から2週間間隔で液体窒素による凍結療法をお勧めします。
単純ヘルペスとは
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)もしくは2型(HSV-2)に感染することで発症する病気のことで、痛みや違和感(チクチク、ピリピリ など)が現れ、患部に赤い腫れがみられた後に皮膚や粘膜に小さな水疱がみられるようになります。1型に感染すると口の周りや口内、2型に感染すると性器に痛みのある小水疱がみられるようになります。
感染経路については、1型では飛沫感染(くしゃみ、せき、会話 など)や接触感染(水疱などの病変に触れる)で発症することが多く、2型の場合は性行為によって感染することが多いです。なお、どちらの型に感染したとしてもウイルスが体外へ排出されることはなく、症状が治まると神経節に(ウイルスが)潜むようになります。そして、免疫力が低下した際にウイルスが活発化し、1型であれば口唇、2型であれば性器に小さな水疱がみられるようになりますが、初感染時と比べると軽度です。
治療については、1型(HSV-1)と2型(HSV-2)共に抗ヘルペスウイルス薬の内服が必要になります。また、口唇を含めた顔面に生じるヘルペスでは紫外線の影響で再発を繰り返す例もあり、夏季には日焼け止めをしっかり塗ることをお勧めします。
また、アトピー性皮膚炎の治療がうまくいっていない方や無治療の方はヘルペスを繰り返すことがありますので、並行してアトピー性皮膚炎の治療をしっかり行うことが重要となります。
帯状疱疹とは
これは水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそう)に感染した方が罹患する病気です。多くの方は、子どもの頃に水ぼうそうを発症した経験があるかと思いますが、症状などが解消した後も発症の原因である水痘帯状疱疹ウイルスは神経節に潜伏し続けているのです。
その後、加齢やストレス、過労といったことが原因で免疫力が低下すると、再び同ウイルスが活性化し、神経(肋間神経、三叉神経 など)に沿って、ピリピリした痛みや感覚障害がみられ、次第に皮膚症状として、赤い発疹や水ぶくれが神経に沿って現れます。やがてかさぶたとなって、これが剥がれるようになると皮膚症状は治まるようになります。なお、その期間は3週間程度と言われています。この皮膚症状が解消したとしても痛みが続いていて、それが発症から3ヵ月以上継続している場合は、帯状疱疹後神経痛と診断されます。多くの場合、50歳以上の患者さまが発症しやすいとされていますが、ストレスや病気(HIV感染 など)などをきっかけに若い世代でも罹患することはあります。
治療に関しては、薬物療法が中心です。具体的には、水痘帯状疱疹ウイルスを抑制させるための抗ヘルペスウイルス薬を内服します。問題になるのは帯状疱疹に伴う神経痛です。
ひどい方の場合、睡眠障害をきたすことがあります。重要なのは発症初期に抗ウイルス薬の内服を開始することと、我慢せずにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬を併用することになります。それでも数か月に渡り痛みが継続することがあり、その場合は神経に作用する内服薬を併用したり、神経ブロックを行うためにペインクリニックを紹介することがあります。
脂漏性皮膚炎とは
乳児と思春期~40代の世代に発症しやすい病気で、皮脂が過剰分泌する部位でみられる湿疹のことを言います。発症しやすい部位は、頭部や顔面、腋の下などで、人の皮膚に常在するマラセチア真菌が関係していると言われています。
乳児にみられる脂漏性皮膚炎は、生後2~4週間頃から発症するとされ、皮脂の分泌が多いとされる頭部やおでこの生え際を中心に黄色っぽいかさぶた、紅斑などの皮膚症状がみられます。自覚症状については、かゆみが現れることもありますが軽度です。ちなみにこれといった治療をしなくても1歳を過ぎる頃には自然と治癒するようになります。
また思春期以降に発症する脂漏性皮膚炎は、主に皮脂分泌を促進させる男性ホルモンが関係しているとされ、慢性的に経過していきます(良くなったり悪くなったりを繰り返す)。主に頭皮や髪の生え際、鼻のわき、耳の後ろ、腋の下、胸、股間部、膝の裏などで発症しやすく、紅斑やフケのようなものがポロポロ落ちるようになるほか、かゆみが軽度にみられることもあります。
乳児の場合は自然治癒することが大半です。ただかさぶたなどは無理に剥がそうとしないでください。成人の場合は、毎日の洗顔、洗髪が重要です。治療としては患部にステロイドの外用を行っていきます。
ほくろとは
ほくろは皮膚の良性腫瘍のひとつで、母斑細胞(メラノサイト(メラニン色素を作る細胞)が変化したもの)が集まって塊となったものです。ほくろは先天的に発生するもの(先天性色素性母斑)もあれば、後天的に発生すること(後天性色素性母斑)もあります。
先天的なほくろは比較的大きく、後天的なほくろは直径5mm以下であることが多いです。また色(黒、褐色、青灰色 など)や形(まっ平、隆起、いぼみたいにザラザラ など)も様々なので悪性黒色腫と見分けがつきにくい、また大きな先天性色素性母斑は、将来的に悪性黒色腫になる可能性もあるので、疑われる場合はダーモスコピーや皮膚生検をするなどして診断をつけていきます。
なおほくろは、良性の腫瘍であるため、速やかに切除する必要はありません。ご希望があれば、保険適応で切除が行えます。切除は局所麻酔下に行い、10分から15分で終了します。
脱毛症とは
脱毛症と聞くと毛が抜けてしまう状態(円形脱毛症、内分泌疾患による脱毛 など)を思い浮かべる方が多いかと思いますが、思春期以降にヘアサイクル期間(髪の毛が抜けては生える周期)がどんどん短くなって、軟毛化し、最終的には抜け落ちてしまう男性型脱毛症(AGA)も含まれます。ただし、男性型脱毛症の治療については保険適用外となります。
保険が適用される脱毛症としては、円形脱毛症、甲状腺機能障害による脱毛などがあります。円形脱毛症では、何の前触れもなく抜け毛がみられ、円形の脱毛斑(直径2~3cm程度)が現れるようになります。その数は1個の場合もあれば、いくつか見受けられることもあり、人によっては脱毛斑が頭部全体に及ぶこともあれば、体毛が抜けてしまうこともあります。原因については明らかになっていませんが、自己免疫反応が関係しているのではないかと言われています。ちなみに脱毛斑が数個程度であれば、自然と治癒することが大半です。
円形脱毛症の症状の程度は個人差が大きいものですが、まずはステロイドの外用を行い、脱毛の勢いが高度な場合にはステロイドの内服を行うこともあります。
ひょうそとは
細菌性爪囲炎とも呼ばれ、ささくれや外傷、陥入爪などをきっかけに手や足の爪郭と呼ばれる部分に細菌(黄色ブドウ球菌 など)が侵入し、皮下組織で感染することで発症、それによって指先は、赤く腫れ、炎症が進行すると膿が溜まるようになるほか、腫れによって指先の関節が曲がりにくいなどの症状がみられます。また発症初期から指先は強い痛みに見舞われるようになります。
治療をする場合、原因菌に対応した抗菌薬の外用薬もしくは内服薬を使用していきます。痛みや炎症が強い場合は、痛み止めを用いることもあります。また膿が溜まっている場合は、穿刺(患部に針を刺す)し、排膿していきます。これによって痛みが解消していくほか、治癒までの期間も短縮されるようになります。
粉瘤とは
皮下で発生する良性の腫瘍が粉瘤です。これは真皮内に袋状の嚢腫ができ、嚢腫の外層のある細胞が角化していくことで内側に角質様の物質がたまっていきます。大きさは直径1~2cm程度のものが多いとされていますが、臀部や大腿部などでは巨大化することもまれにあります。盛り上がりはあるものの、皮膚の色と同様なので目立つことはなく、自覚症状がみられることもありません。顔面、頸部、背中といった部位で発症しやすいと言われています。なお、粉瘤を指などで強く圧迫すると白っぽい粥状の物質が出て、悪臭を放つようになります。そのようなことをきっかけに二次感染を起こすと粉瘤の部分が赤く腫れるほか、痛みを伴うようになります(炎症性粉瘤)。
粉瘤は良性の腫瘍なので、すぐに切除が必要といったことはありませんが、何度も炎症を繰り返す、粉瘤が大きくなりすぎているという場合は、粉瘤を摘出する外科的切除を行います。また炎症性粉瘤の治療では、抗菌薬を使用して炎症を抑えていくほか、膿が溜まっているのであれば、一部を切開して排膿していきます。ちなみに炎症性粉瘤の患者さまが切除する場合は、炎症が治ってからになります。切除に関しても、保険適応になります。